
「イースタン・プロミス」とは、東欧ロシアからやってくる貧しい女性に良い生活を約束するという意味から、つまりはイギリスの東欧組織による人身売買契約のことを指すのだそうです。この映画は、その人身売買に身を落として死んだ少女の日記をきっかけに、その組織の秘密が暴かれていくようすを描いた作品です。
この映画では、やはり主役のニコライを演じたヴィゴ・モーテンセンの熱演が印象的です。身体中に入れ墨を入れて、ロシアンマフィアの運転士役を演じる彼は、『ロード・オブ・ザ・リング』のアラゴルン役で見せた勇気あふれる戦士とはまったく違い、ニヒルでクールな役を見事に演じています。
真っ裸で挑んだサウナでの格闘シーンでは、大事なところが見えやしないかと、ひやひやしてしまいました。たぶん、スロー再生にしたら絶対見えていたと思います。家で見てたらしてたかも(笑)。でも、そのプロ根性はお見事です。
ただ、映画としては、物足りなさも感じてしまいました。
ロシアンマフィア「法の泥棒」の運転士として組織に仕えるニコライは、ボスの息子が殺した死体を身元が分からないように処理したり、組織の一員となるため身体に入れ墨を入れたりと、それこそ組織で生きていくためにあらゆる汚い仕事も引き受けます。
ロシアの貧しい地域の出身で、食べるためにロンドンに来て、そこで生きていくために裏社会に身を落とすが、のしあがろうと懸命に生きる。そんなロシアンマフィアの世界で生きていく男の物語だったら、映画の中で描かれている、壮絶な暴力シーンや、入れ墨を入れるシーンなども説得力あるものとして感じられたでしょう。
いわば、ゴッドファーザーのイギリス版のように、ロンドンで生きるロシアンマフィアの暗部を描いた作品として受け入れられたかもしれません。
でも、実はニコライはマフィアに潜入捜査をしている捜査官だったのです。
後半種明かしされるこの事実は、それまでのロシアンマフィアとして生きるニコライから伝わる冷徹さ、苦悩みたいなものをいっきにはがしてしまうように思えます。
潜入捜査であそこまでするのかという疑問が、逆にニコライの存在自体に疑問を投げかける結果となり自分の中で消化不良として残りました。
良かったのは、映画の中で描かれている暴力シーンですね。
さすがR指定されているだけあって、その描写はグロく、思わず目をつぶってしまうような場面もありますが、ハリウッド映画などでよく見られるような痛みを感じられない、ゲーム感覚的な暴力シーンよりもはるかに迫力があったし、真実味がありました。
だからこそ、暴力の恐ろしさも伝わってきましたし。
星は2つです。
★★☆☆☆
※写真はロンドンをイメージしてビッグベン風の建物にしてみました。
もちろん、ビッグベン風なので、ビッグベンではありません。
一度でいいからイギリスに行ってみたいな〜。
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